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玄関のチャイムが鳴りました。
…こんな時間に誰ぞや?
ここは治安の悪い一の矢。
3か月前には私も被害額十数万円の盗難に遭った一の矢です。
私はチェーンをかけると
鍵を開け、ドアを開けました。
するとドアの前には
あらまぁ
かわいい女の子が。
「あ、間違えました」
間違いかよ。
オレに用じゃないのかよ。
がっかりさせるなぁ、キミ。
こんな時間にってのは
誕生日かよ。
彼氏の。
口紅なんかつけちゃって。
かわいい黄色のブラウスなんか着ちゃって。
「すみません」
なぜか私は謝って
そのままドアを閉めました。
足音が階段を下りていきました。
…階を間違えたのかよ。
自転車のスタンドを上げる音がしました。
…棟を間違えたのかよ。
しばらくしてまた静かになりました。
…まさかあいつ、平砂と間違えたわけじゃないよな。