四角いパレット

katataka's blog

半開き

珍しくメールの返信がない。
部屋は電気がついたままだった。
テーブルには、2人分の料理が並んでいて、
ストーブの前の堅い床には体躯が横たわっていた。
近づいてみても、容易には目を覚まさなかった。
しかし、やがて、眼を半開きにすると、
夢のなかなのか、譫言のように言う。
冷蔵庫に、いいものが入っているのだ、と。
確かに、冷蔵庫のなかを見ると、四角い、上に取っ手のついた紙の箱が入っていた。
なんだろう。こうも申し訳ない気持ちにさせるのは。
思い描いたであろう、夢の一時は、
こうして私がいつもにも増して遅く帰ってくることにより、
はかなくも打ち崩れ去ってしまったのだ。
不届き者が。
貴様は最悪な男だ。
目覚まし時計はいつもより早めにセットした。
せめて明日の朝に、思い描いてくれていたものに近い時間を過ごしたくて。
電気を消す。
ピクリとも動かない。
安らかなるこの表情を、
歪ませるようなことはしたくないものだ、と常々思いつつ、
毎晩その願いは自らの手で壊している。
どうしてこうも私はどこまでも期待に添えず哀しませるばかりなのだ。
こうして毎日一緒にいれる日々は、もうあと半分だというのに。