四角いパレット

katataka's blog

南三陸町

katataka2013-01-05



この年末年始は,誤嚥,じゃなくてご縁がありまして,東北地方へ行っておりました.
今回は南三陸町の元志津川町に行ってきました.
観光とか見学とかではなく,別件の所用で同町を訪れたのですが,
その際に町なかを案内してもらいました.
「まちなか」とはいえ,町自体は津波ですべて流されてしまっています.
そして流されたと同時に残ってもいて,
木材やコンクリートや鉄骨など,本来は家屋や港の建造物であったであろう物ものが,がれきと化して,
まちじゅうに残存していたのです.
それをこの2年近くかけてようやく片付けたところでした.
見渡す限りのがれきを,数多くの重機が少しずつ運んでいき,
林の立ち木に引っかかった衣類や,平地に散らばった家財などを,ボランティアが手作業で片付けていったそうです.
現在は,砂利などで整備した平地が続いていて,そのなかを,道路などが敷かれている状態です.
もちろん,人は住んでいません.
プレハブのコンビニエンスストアや,大型バスを利用したラーメン店があります.
また最近,川上の方にガソリンスタンドが建ったようです.
再建はまだこれからです.
現在も,満潮になると,川から海水が逆流してきて,川沿いも浸水するそうです.
1m近くもの地盤沈下が起きて,堤防が破壊された現在は,潮汐からすら土地を守れていない状態のようです.

写真は,同町の防災対策庁舎跡です.
窓も壁もなくなって鉄骨だけとなったのは,地震や火災が原因となったからではありません.
津波が堤防を越えて一気に押し寄せて,3階よりも上まで海となったからです.
昔から津波の被害を受けてきた同町は,津波に対する対策を講じてきましたが,
今回の大震災では想定を大きく上回る規模の津波が押し寄せ,町全体が海となり,壊滅しました.
堤防や水門を軽々乗り越えた津波は,平地のまちなみを淡々と飲み込んでいきました.
海岸線からどれだけ離れているかではなく,海面から何mの高さかが,明暗を分けました.
その土地が低ければ,たとえ海から1km離れていようと,津波は容赦なくその家も家族も,飲み込んでいったのです.

これまでも,地震の被災地を訪れたことは何度かありましたが,
今回の地震,そして津波は,想像を絶するものでした.
現地をご案内いただき,貴重な経験となりました.ありがとうございました.
今後とも機会をみつけて訪問させていただきます.よろしくお願いいたします.