図らずも一睡もできないまま朝を迎えた当直業務。
一晩に7件の救急車受け入れ要請を断ったはずなのに一方で10件の救急車を受け入れていて、
そのうち1件を他院転院搬送、6件か7件くらいが入院案件という重症度でした。
このご時世、発熱を伴う方ばかりが運ばれてきて、
その度に私はフル装備になって鼻咽頭ぬぐい検体を採取し定量検査の結果を1時間以上待つというサイクルを繰り返していました。
そんな当直業務を含む36時間連続フル活動から一夜明けた今もまだその余波は続き、
午前3時のこんな時間まで夜更かししています。
心も体も疲れているせいか、ちょっとしたことでも、文章にしたためて心の整理をしないと寝付けないような不安定ぶりなのかもしれません。
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私の外来に1年半くらいかかっていた人が、
他の先生の外来にかかっているのをカルテ上で見かけました。
担当の先生を変えてほしい、という本人からの申告があったとカルテには記載されていました。
主治医との相性ってのはどうしてもあるもので、
どんないい先生でも、どの患者さんにも合うってことはなくて、合う合わないっていうのは相性の問題だったりもするのだとは思うのですが、
それでもやっぱり、わざわざ自分のところから別の先生へ変えていくというのは、変えられた方にとってはやっぱりショックです。
今回の場合、担当医を変えたい理由は、
検査したことを忘れていたことがあったから。
そして、薬を自分で調整して良いと言われたから、とのことでした。
…たしかに、入院までして検査したことを忘れて話していたこともありました。
それは本当にごめんなさい。
でも、それを上回るくらい、
薬の効果や副作用を確認しながら外来受診のたびに薬の調整に苦労し、なんとかいい方向に向かうように手間暇をかけたつもりでいました。
質問があればいつも以上にいろんな背景や事情をお話しして薬の選択や調整の根拠を説明してきたつもりでした。
薬の自己調整の理由も説明し、それなりに若いし理解もできているだろうと見越して提示したつもりでした。
それでも、現実はこうして、信頼関係が揺らぎ、患者は私の元を離れていきました。
なんだか、正直なところ、無力感にさいなまれてしまっています。
一方的に説明し相手に理解してもらったつもりで最後まで勝手に勘違いしていた私がすべて悪いのですが。
もっと、患者さん個人個人の求めるものをすぐさま察知して、
それぞれにあった最小限の対応ができるようになれるといいんですけれどね。
私の力量不足です。
あるいはセンスの問題、コミュニケーションスキルの問題、人間性の問題、人格の問題なのかなぁ。
あまりトラブルなくひょうひょうと外来業務を進める先生は、
薬もあまり変えず、最低限の変更のみにとどめ、
説明も端的に簡潔に済ませているように見えます。
感情の起伏もなく、淡々とこなしていて、
患者さんからも医療スタッフからも悪い話は聞きません。
その先生が長年やってきて培われた一つの到達点の外来スタイルなのだと思います。
私はついねちっこく、あれやこれや根掘り葉掘り問いただして、
薬もベストを求めて細かく細かく変更を重ねてしまうので、
それが変化を嫌う患者さん方には不評だったりもします。
採血結果のちょっとした変動や自覚症状の変化にも惑わされることなく、
達観した心持ちで日々の外来業務にあたり、
結果的に最小限の確認と介入に留まり、円滑な外来診療に結びつけることができるよう、
心身ともに精進してまいります。