四角いパレット

katataka's blog

論文アクセプト

昨年11月に投稿した論文が、幾多の修正を経て、先日ようやくアクセプトされました。

IF 3点台ですけどね…。

それでも、自分で(google翻訳結果を参考に適当にいじって)英語を書き上げ、修正のための追加実験はことごとく不本意な結果に終わり卒業前の貴重な時間を浪費しつつ泣きながら言い訳文をしたため、一貫して主体的に自分の手で書き上げることができたことに、大きな達成感を感じております。

研究室のみなさまには本当に感謝しております。また部署が違うのに一から丁寧にご指導いただき最後まで実験や研究を一任していただけた共同研究先のY先生へは、感謝してもしきれません。ありがとうございました。

このブログを見返してみると、大学院での研究生活について書いたことがほとんどありませんでしたね…。

2015年春に研究室に配属となり、半年ほどマウスへの手術を習得するための修行の日々を過ごしておりましたが、研究テーマがなかなか決まらずしばらくは悶々としていました。

まあ、博士課程ならば上司からテーマを指定されるのではなく自分でテーマを見つけてくればよいのでしょう。

これではいつまでたっても研究も卒業もできやしないと危機感を抱いた私は(というかいい加減あてもなくマウスを何十匹もあやめ続ける日々に嫌気がさしてきただけでしたが)、そのころ「共同研究できたらいいね」と研究室内で夢物語っていたことを真に受けて、それを自分の研究テーマにしてしまおう!と、上司に交渉を持ちかけました。この判断が良かったのかどうかは、今となっては比べることもできないのでわかりませんが、後悔はしていません。むしろこれによって通常では出会えない人たちと出会い交流し、知らない研究世界を垣間見ることができ、そしてその分野からの論文を書き上げることができたのですから。

その研究テーマは、自分が臨床で携わっている内容とはかなりかけ離れており一見全くつながりがないようなものです。いや、一見どころか凝視してもつながりなんてありません。例えていうなら、眼科医が白内障→屋外作業は紫外線浴びるから危険因子(ほんとかどうかは知らん)→研究テーマ「反射光を抑制するアスファルトの表面形状」くらいのぶっとびぶりで、ほかの研究室のみんなが行く眼科関連の学会にはとても出せませんでした。あくまで例えですが。

だけど、この共同研究に関わることで、自分の研究室にいては知り得なかった世界、例えていうならアスファルトの材質なんて知り得なかったでしょうし、表面形状を決める要因や形状の数値化なんてこと考えもしなかったでしょう。そしてアスファルトの冷却時間を変えながら顕微鏡で確認する作業、冷却のノウハウ、材質の配合率のこだわり、そんなことについて熱く議論する大学生たちとの交流も、貴重な経験となりました。あくまで例えですが。

実際のところは、アガロースゲル電気泳動とか、フローサイトメトリーとか、吸光度とか、生化学の範疇の内容も多かったし、高分子とか微粒子の動態とか少し化学寄りの内容にも触れることができました。

自分のノートパソコンに、こんな分野の資料やデータがいっぱい保存されることになるとは思いませんでした。そして今の職場で論文の修正に追われ、細胞内構造の顕微鏡画像をノートパソコンのディスプレイに並べてにらめっこしながら、あーでもないこーでもないと英語を書くのもまたいい思い出となりました。

研究生活はけっして真面目に過ごしていたわけではなく、昼過ぎにラボに現れ、ネットをし、バイトのスケジュール組みでパソコンをぽちぽちし、夕方にやっとクリーンベンチへ行って30分程度で細胞継代して帰るという落ちぶれた日々を送っておりました。たまに無駄に3・6・12・24時間のタイムコース研究を企画してさも頑張ってる感を演出したり、予約で激混みの測定機器を夜中に悠々と何時間も占拠したり、そんな「基礎研究ごっこ」をすることもありました。就職後に思いがけず巡り合わせた「最後の」学生生活であり、一時的な「モラトリアムの続き」でした。

一度きりの人生、単調に年を重ねていくよりは、こうして環境の変化や取り組む内容の変化があると、彩りも豊かになるような気がします。