COVID-19が始まってもうすぐ3年近くになりますが、
私が担当する病棟でクラスター発生は今までありませんでした。
この1週間、クラスターが発生中です、
その病棟で私が担当している入院患者さん9人のうち、
今日までに7人が陽性となってしまいました。
すべて、院内感染です。お恥ずかしい限りです。
この2~3日は病棟職員にも感染が広がっており、なかなか厳しい状況です。
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クラスターが発生すると、新規入院受け入れを停止せざるを得ません。
かといって、入院患者数がさほど減るわけでもありません。
今いる入院患者が、いわば運命共同体となって、クラスターが終息するまで濃厚接触だったり時間差で発症したりでなかなか退院できずに過ごすことになります。
幸い、院内感染のうち重症度が中等度II以上(つまり酸素投与が必要な状態)となったケースはほとんどありませんが(ないとは言わない)、
もし重症化した場合は致死的経過をたどるだろうと思われる人も多くいらっしゃいます。
そして、院内感染が原因で命を落とすのはできるだけ避けたいので、
軽症であっても日々のSpO2の経過をひやひやしながら見守っています。
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個人的には、ある程度はCOVID-19の診療について少しずつアップデートしてきたつもりでしたが、
いざ目の前に次々と患者が現れ、入院管理をすることになると、
けっこう右往左往してしまいます。
そして、
院内で制度等を整備していなかった治療薬の入手を関係各所に掛け合ったり、
重症化した場合の人工呼吸器管理について準備状況を確認したり、
いままで病院全体がCOVID-19診療を避け続けてきたツケが、
こうして院内クラスターとなって一気に押し寄せてきた感じです。
とりあえず今の体制でできるだけの治療をするしかありません。
…結局、うちで使えるのはラゲブリオだけか。
これだけでこの先立ち向かうのはかなり心細いです。
パキロビッド、うちでも使える体制を整えておくよう、夏の時点でICTのドクターにちゃんと掛け合っておくべきだったな。
てんてこ舞いの今言い出しても時すでに遅し。
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外から次々押し寄せるCOVID-19へ対応するのと、
身内から次々勃発するCOVID-19へ対応するのとでは、
こんなにも気持ちの持ちようが変わるのかと実感しました。
なんとかこの状況へ立ち向かうぞ!とか、地域の医療を守り抜く!とか、そういったやりがいを持ちにくく、
ただただ、これまでの自分たちの感染対策の不十分さを結果として「本日の新たな陽性者数」を日々これでもかこれでもかと突き付けられながら、自らがもたらした状況の収拾のために身を削り家庭を削り社会からの信頼を削っていく無力感。
やるせない日々です。