正直、mRNAワクチンがここまで有効性を発揮するとは思ってもいませんでした。
ファイザーが有効率90%というあまり具体的な表現を伴わない発表をしたときは、
私は全く信じていませんでしたが、
徐々に状況が明らかになるにつれ、
この短期間にこうして新たなワクチン戦略が開発され実現に至りつつあることに、
むしろ興奮し始めています。
mRNAワクチンが大量にかつ安定して生産できるという利点、
また意図的に設計できる応用性、
これはCovid-19だけでなく今後他のウイルス感染症にも応用できる可能性を秘めています。
そして、mRNAを投与してから細胞内で発現させるまでの効率性において、
私が2年前まで大学院で研究テーマとしていた、
脂質ナノ粒子によるdrug delivery systemが用いられ、
見事に臨床的効果を発揮するほどのmRNA送達率、発現効率を達成したことに、
驚き、また感心し、興奮しています。
今回一気に臨床へ実現に至ったmRNA送達技術は、
今後ワクチンだけに留まらず、他の免疫学的治療、癌治療、先天性代謝性疾患など、
幅広い分野へ応用できる可能性を秘めていると思います。
と、勝手に私は思っているのですが、
ネットニュースを見ていてもどこにもそんなことには触れておらず、
ワクチン接種方法とか今後の経済とかいったこじんまりした話ばかりです。
今回のワクチン開発によって、人類は思わぬブレイクスルーを成し遂げたように思うのですが、
それを人類が認識するのはまだ先の未来のことでしょう。